ガーゼ

大人になっても少女で痛いの

一人称

「わたしがもし男だとしても好きなのか」
過去に一度だけわたしを好きだと言った男の子に聞いたことがある。
答えは「それは難しいね」だった。それはそうなのだろう。彼にはわたしが女性にしか見えて居なかったのだから。
小学校高学年になるまで一人称に「わたし」を使う事が出来なかった。それまではきっと微かな自尊心を保つ為、誰に何を言われようと「わたし」を使わなかったのだろう。小学校高学年になり、わたしの微かな自尊心がいろいろな事で崩壊した時、わたしは初めて一人称「わたし」を使った。
それから10年くらい後になる。初めて男性を好きになる事が出来たのでその彼に聞いたのだ「わたしが男だとしても好きなのか」。
きっと彼にとっては下らない事だったかもしれない。だけど「難しい」は妥当な事なのだろうなと今でも思う。
FTMのわたしが男性にそのような問いをしたのは後にも先にもこれだけだ。