ガーゼ

大人になっても少女で痛いの

痛みのスケール

母親がアスペルガーと気づいたのはつい最近だ。

父親といえばわたしが成人するまでは仕事人間だったし、一番大事な人はダウン症の弟だったもんだから、わたしの育児や躾をしたのはアスペルガーの母親だった。

母親は他人の気持ちがわからない。美的センスが極端に悪い。匂いや味に敏感で家の中は整理されて居なければいけない。家事も全てルーチン化されていないといけない。それでいて仕事依存だった。

仕事で出来ない家事を押し付けられてもわたしは「嫌だ」と言うことをこの家に住むならば言ってはいけなかった。仕事で疲れている母親には「辛い」「疲れた」「痛い」を言うと無視された。

わたしは一人っ子なので大人達の中で空気を読んで行動することを余儀なくされていたから我慢しなくては家に居ることが出来ない。

どんなに母親から父親の愚痴を言われても平気になった。

大切なことは母親だけには知られてはいけない。

身体の変化、不調、痛み、性別。あなたはこういう子だからと言われ、それに沿ってきても具合の悪さはどうしようもない。わたしが病気になれば、母親と父親がわたしを病院に連れて行く事を押し付けあって喧嘩してしまう。

骨折しても痛いと言えずにただ涙が出た。

わたしにははじめから、痛いと言う感覚は分からなかった。親に「痛いね、つらいね。」と言われて初めて痛みを自覚できるのだと言う。母親には共感する能力が無かった。先生曰く、わたしには痛みのスケールが無いという。

思春期には自分の好みを自覚して、その通りに行動した。それでも母親の好みでは無い為に「反抗的だ」と言われていた。

自傷癖の事については「傷口が見えるとわたしが傷つく」と言われた。わたしにはそれがどうゆうことなのかわからない。そもそも違う身体なんだし、わたしは痛くないし。

 

今でも髪型や服装に対して文句を言う母親。おまゆう。結婚して母親の異常さに気づけたので少しは楽になってきた。